本箱に新しい本が増えました。昨年5月に刊行された小手鞠るいさんの『鳥』2023年5月・小学館刊 という本です。私は小手鞠るいさんの本を読むのは始めてです。
この本は、小手鞠るいさんが描く「世界を広げる3部作」のうちの一つです。
アメリカと日本に住む同年代の少女が、お互いの近況状況をメールを通して、自然、鳥、命などについて考え、前向きに自由な考えで成長していく様子が描かれています。 人間以外の世界を、どれだけ身近に感じて大事にするか。地球環境を考えるきっかけになる本です。
またアメリカンロビン(日本ではコマツグミ)、鳥の鳴き声など、日常の自然が描かれており、鳥フアンには愉しめます。
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この本と併せて小手鞠るいさんの『サスティナブル・ビーチ』カシワイ(絵)さ・え・ら書房・2021年4月刊 を読みました。
夏休みに母とハワイ旅行に行った小6の主人公が貴重な経験をします。キラキラ光る美しいビーチがマイクロプラスチックで汚染されている現実を知ります。世界の海の状況から地球環境について考え、自分は何が出来るのか。森と川と海は、ひとつに繋がっています。私たちの身近な川を汚さないことが、地球環境を、そして生き物たちを守ることに繋がります。まず身近な川原の清掃から行動を起こす物語です。
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私の身近な川といえば、いつも散歩している黒須田川です。改めて川の現在の姿を眺めて見ました。
黒須田川の水は、多摩丘陵の谷戸からの湧水です。人家の中を流れている川にしては、石が多く配置されています。自然な水の流れを考慮されたのでしょう。石と石は水の流れに淀みを作り、そこに小さな生き物や小魚が生息します。それを求めて鳥たちが飛来します。また石や堰は、水の流れに緩急がつき、せせらぎが生れます。昔、黒須田川は曲がりくねっていて、水が石にぶつかった音が、歌っているように聞こえたということから「歌川」と呼ばれていました。古い地図には「歌川」の地名もあります。その名前は、今も橋の名前に残っています。
石が多いためにビニールや布などが絡まったり、張り付いたりと流れが堰止めたりして景観を損ねています。
川に飛来する鳥たちの周りには・・カワセミの傍には・・
夏には草や木の葉が覆っているので目立ちませんが、冬にはよく目立ちます。
プラスチックやビニール袋に囲まれながらも、都会の川に生きるカワセミは、環境の変化にも動じないで生きています。カワセミは「都市鳥」になってしまったのだろうか。
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いつもはゴミを写さないで鳥たちを紹介して来ましたが、今回は、黒須田川のゴミと一緒に鳥たちを紹介します。
アオサギの傍には・・
ツグミの傍には・・
コサギの傍には・・
カルガモの傍には・・
ハクセキレイの傍には・・
シジュウカラの傍には・・
ジョウビタキ(メス)の傍には・・
ジョウビタキ(オス)の傍には・・
キセキレイの傍には・・
川の中の鯉の傍には・・
空き缶は、目立つので回収しやすいですが、ポイ捨てのタバコの吸い殻は、水に溶けて、魚や様々な生き物の体内に入り食物連鎖に影響を与えます。
マガモの傍に・・
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立つ迹を頭巾ではくやたばこ芥
一茶『文政句帖』
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今年は梅の咲くのが早いようで・・
でも今の川辺は草木が枯れ、色が乏しく淋しい景色になりますが、渡り鳥や水鳥たちがいることによって温もりを感じさせてくれます。
餌を見つけたのでしょうか。タイミングよくカワセミが飛び込みました。
黒須田川には、年間を通して10種類の鳥たちが飛来します。その鳥たちの棲息する川を汚さない。それが海を・・地球環境を守ることに繋がります。
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また小手鞠るいさんが翻訳された絵本『わたしたちの森』ジアナ・マリノ(作)、小出鞠るい(訳)ポプラ社・2021年10月刊 があります。
今、世界のあちらこちらで山火事が起きています。山火事で森や林を棲家としている動物たちは、どうなるのだろうか。
ある日、火の手が風に乗って大きな炎となり、森に棲む動物たちを襲いかかります。メス鹿が、言葉は少なく、その状況を語ります。逃げる動物たちをシルエット風のタッチで描かれた絵は、大自然のドキュメンタリーのような絵本です。
地球環境の変化や気候の変動について考えるよい絵本です。
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